腹部外傷
概要・推奨
概要
- 腹部には血液が豊富な実質臓器と消化液などを含む管腔臓器が存在するため、腹部外傷では出血によるショックと腹腔内の汚染による腹膜炎が主な病態となります。
- Primary surveyでは、内出血の部位として、胸腔、腹腔、後腹膜腔が重要な止血すべき出血部位として優先的に検索を行います。
- Secondary surveyでは、特に見逃されやすい管腔臓器損傷や後腹膜臓器損傷の検索に努めます。
- 腹部外傷の緊急度は、出血性ショックをきたす血管・実質臓器損傷が最も高く、次いで管腔臓器損傷による腹膜炎です。
- 緊急度に応じた治療方針の決定が重要であり、ショックを伴う超緊急手術は受傷から1時間以内に行うことが望ましいとされています。
推奨
- Primary surveyで循環に異常を認める場合、ショックの原因となる腹腔内出血を検索するためにFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)を行うことが推奨されます。
- 重篤なショックを呈する、または初期輸液に反応しない腹腔内出血が疑われる患者さんには、蘇生の一環として緊急開腹止血術が推奨されます。
- 循環動態が不安定な状態での開腹手術では、ダメージコントロール手術(Damage Control Surgery: DCS)が推奨されます。