薬物中毒

概要・推奨

概要

  • 中毒とは、外的・内的な物質が許容量を超えて体内に取り込まれることにより、生体の正常な機能が阻害される病的な過程のことです。
  • 中毒は急性中毒と慢性中毒に分類されます。急性中毒は薬毒物の摂取や接触により生体に直接的な薬理作用を及ぼして病的状態になることで、慢性中毒は少量ずつの摂取が長期間に及ぶことで体内に化学物質が貯留し病的状態になることです。
  • 国内の報告では、入院を要する急性薬物中毒症例の多くが、ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬や抗うつ薬など向精神薬の過量服薬によるもので、全体の約半数を占めるとされています。
  • 薬毒物の体内への経路には経口、経気道、経皮、経静脈、経眼などがあります。中毒症状の発現は経静脈が最も早く、次いで吸入、皮下・筋肉内注射、経口、経皮の順に遅くなります。
  • 急性中毒の治療は、①医療者・周囲の安全確保、②気道・呼吸・循環などの全身状態の評価と対症療法、③必要に応じた消化管除染や吸収阻害、④排泄促進、⑤解毒・拮抗薬投与、の順で検討するのが原則です。
  • 中毒原因物質の同定に決定的な「ゴールドスタンダード」はなく、病歴や身体所見、トキシドローム、必要に応じた血中濃度測定や毒物スクリーニング検査などを総合して推定します。多くの施設では、尿を用いた免疫学的な簡易分析キットが使用されますが、偽陰性・偽陽性があるため結果の解釈には注意が必要です。

推奨

  • 何よりも重要な事は、ABCDの安定化である。
  • 中毒患者の診療では、12誘導心電図および心電図モニターの実施が必須です。
  • 薬物による痙攣に対しては、第一選択としてジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤の静脈内投与が推奨されます。フェニトインの使用は、一部の薬物中毒では有害となる可能性があるため推奨されません。