甲状腺クリーゼ
概要・推奨
概要
- 甲状腺クリーゼは、甲状腺中毒症を基礎とし、何らかの強いストレスが加わることで生体の代償機構が破綻し、多臓器不全に陥る、生命の危機に瀕した緊急治療を要する病態です。
- 日本での全国疫学調査によると、年間250人以上が発症し、致死率は10%を超えています。
- 基礎疾患の約97%はバセドウ病です。
- 誘因として最も多いのは抗甲状腺薬の服用不規則や中断で、次に感染症が続きます。
- 特徴的な症状として、中枢神経症状、38℃以上の発熱、130回/分以上の頻脈、心不全症状、消化器症状(嘔気・嘔吐、下痢、黄疸)が挙げられ、これらの症状が複数同時に出現します。
- 診断は臨床症状に基づいて行われ、日本甲状腺学会と日本内分泌学会による診断基準が用いられます。この診断基準では、甲状腺中毒症の存在が必須とされています。
- 治療は、甲状腺中毒症自体の治療、全身管理、臓器症状への対応、誘因の除去を柱とし、内分泌専門医だけでなく、循環器、消化器、神経など多領域の専門家による集学的治療が必要となる場合があります。
推奨
- 高熱、高度の頻脈、意識障害、うっ血性心不全、消化器症状などの複数の臓器症状を呈する患者では、甲状腺クリーゼを疑い、診断基準と照合することが推奨されます。
- 甲状腺クリーゼ確実例および疑い例は、速やかに集中治療が可能な専門施設へ搬送することが推奨されます。
- 治療は、抗甲状腺薬、無機ヨウ素薬、副腎皮質ステロイド薬、β遮断薬、解熱薬を併用することが推奨されます。