骨盤外傷

概要・推奨

概要

  • 骨盤外傷は主に、出血性ショックの原因となり得る骨盤輪骨折と、股関節機能に影響を及ぼす寛骨臼骨折に分けられます。
  • 骨盤輪骨折は大きな外力によって生じ、骨盤輪の安定性が損なわれ、出血性ショックの原因となることがあります。
  • 寛骨臼骨折は関節内骨折であり、生命予後に影響することは少ないものの、股関節機能の転帰を左右する骨折です。
  • 出血性ショックを呈する鈍的外傷患者では、骨盤骨折の存在を念頭に置いて初期診療にあたることが重要です。
  • 骨盤外傷の初期診療では、早期の診断と後腹膜出血の止血、骨盤輪の安定化、そして膀胱・尿道・直腸などの小骨盤内臓器損傷の検索が重要となります。
  • 救命後は、早期離床や機能回復に主眼を置き、骨盤輪あるいは寛骨臼の良好な整復と安定化のための根本治療を行います。
  • 開放骨盤輪骨折は、外界と交通するため大量出血をきたしやすく、また直腸や膣との交通による感染から敗血症に陥るおそれがある重篤な損傷です。

推奨

  • 骨盤輪の不安定性を評価するための用手的な骨盤動揺性検査は、出血を助長する危険性があるため行う判断は慎重にすべきです
  • 循環動態に異常を認める場合や、意識障害などで正確な身体所見がとれない場合、高リスク受傷機転が推定される場合には、骨盤単純X線写真正面像を撮影することが推奨されます。
  • 簡易骨盤固定具(シーツラッピング法を含む)は、骨盤輪骨折が疑われる出血性ショックの患者に対し、病院前を含めて早期に使用することが推奨されます。