多発性硬化症(MS)
概要・推奨
概要
- 多発性硬化症(MS)は、中枢神経系における代表的な炎症性脱髄疾患であり、自己免疫的な機序が病態に関与していると考えられています。
- 診断に特異的なバイオマーカーはありませんが、MSに特徴的な検査・画像所見が存在するため、これらの所見と他の中枢神経疾患との十分な鑑別により診断が行われます。
- 日本人での有病率は欧米と比較して低いですが、年々上昇してきています。
- 根本的な治療法は現在のところ確立されていませんが、疾患修飾薬(DMD)を中心に薬剤の開発が進められており、2025年9月現在、日本では8種類のDMDが認可されています。
推奨
- 急性増悪期には、高用量の副腎皮質ステロイド薬(ステロイドパルス療法)が第一選択として推奨されます。一般的にはメチルプレドニゾロン1000mg/日を3日間連続で点滴静注する方法が用いられます。効果が不十分な場合には、ステロイドパルス療法を追加するか、血漿浄化療法を試みることが推奨されます。
- MSと診断された後は、速やかに疾患修飾薬(DMD)による再発予防・進行抑制治療を開始することが推奨されます。DMDによる早期治療により、長期的な再発回数および身体障害の進行が抑制されることが複数の臨床試験で示されています。
- どのDMDを開始するかは、個々の患者の再発頻度、MRI活動性、身体的障害の程度などの予後不良因子や、患者の生活背景、価値観などを考慮して選択します。予後不良と考えられる患者では、有効性の高いDMDから開始することが望ましいです。