肺動脈性肺高血圧症

概要・推奨

概要

  • 肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、心臓から肺へ血液を送る肺動脈のリモデリングにより血圧が高くなる疾患群であり、指定難病に認定されています。
  • 特発性、遺伝性、薬物や毒物に関連するもの、膠原病などの各種疾患に伴うもの、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)や肺毛細血管腫症(PCH)の特徴をもつもの、新生児遷延性肺高血圧症に分類されます。
  • 特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)の年間発症率は100万人あたり1~3.9人と報告されており、近年は診断時の高齢化が進んでいます。
  • 全身性強皮症(SSc)患者の7~12%、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の2~4%、混合性結合組織病(MCTD)患者の約10%にPAHが合併すると報告されています。
  • 肺血管の収縮、肺動脈壁の肥厚、血管内血栓形成、叢状病変などが特徴的な病態で、内皮細胞や血管平滑筋細胞の機能障害、免疫応答などが関与していると考えられています。
  • 治療薬が存在しなかった時代のIPAHの平均生存期間は2.8年でしたが、近年の治療薬の開発により予後は改善しており、5年生存率が84%との報告もあります。
  • 基礎疾患によって予後は異なり、SScに伴うPAHはIPAHなどより予後不良である一方、SLEに伴うPAHは3年生存率が90%弱と報告されています。PVOD/PCHは特に予後不良な疾患です。

推奨

  • PAHが疑われる患者さんには、診断、分類、重症度評価、治療方針決定のために右心カテーテル検査の実施が推奨されます。
  • 特発性、遺伝性、薬物誘発性PAHと診断された患者さんには、高用量カルシウム拮抗薬が有効な可能性のある患者さんを特定するため、急性血管反応性試験の実施が推奨されます。
  • 診断時には、WHO機能分類、6MWD、BNP/NT-proBNPなど複数の検査結果を組み合わせたリスク評価を行うことが推奨されます。