多発性内分泌腫瘍症

概要・推奨

概要

  • 多発性内分泌腫瘍症(MEN)は、複数の内分泌臓器に腫瘍や過形成を生じる常染色体優性遺伝性疾患です。
  • MEN1とMEN2に大別され、これらは原因遺伝子や臨床像が異なる、本来は別個の疾患です。
  • MEN1は、副甲状腺、膵・消化管、下垂体をはじめとした内分泌臓器および非内分泌臓器に腫瘍性病変を発生させます。主要な病変は原発性副甲状腺機能亢進症(浸透率95%)、膵・消化管神経内分泌腫瘍(浸透率60%)、下垂体腺腫(浸透率50%)です。原因遺伝子はMEN1遺伝子です。膵・消化管神経内分泌腫瘍や胸腺神経内分泌腫瘍は悪性化することがあり、生命予後を左右する要因となります。
  • MEN2は、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症を主病変とし、臨床像から主にMEN2A、MEN2B、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)に分類されます。原因遺伝子はRET癌原遺伝子であり、変異コドンと臨床像に明瞭な相関が認められます。生命予後は甲状腺髄様癌や褐色細胞腫により規定されます。
  • 本症でみられる個々の関連病変は頻度の高い疾患であるため、関連病変を有する患者の診療においてMENの可能性を常に念頭に置くことが重要です。
  • 遺伝性疾患であるため、患者本人のみならず、血縁者の診断や遺伝カウンセリングを含めた専門的かつ慎重な対応が求められます。

推奨

  • 若年発症・多腺病変・再発性の原発性副甲状腺機能亢進症、ガストリノーマ、多発性・再発性の膵・消化管神経内分泌腫瘍、若年(20歳以下)のインスリノーマ、MEN1関連腫瘍の既往歴や家族歴がある場合は、MEN1を積極的に疑うことが推奨されます。
  • すべての甲状腺髄様癌、両側性または若年(40歳以下)発症の褐色細胞腫、MEN2関連腫瘍の家族歴がある場合は、MEN2を積極的に疑うことが推奨されます。
  • MEN関連病変を診断した際には、他の関連病変の有無について横断的な診療体制のもとで精査を進めることが推奨されます。