食道・胃静脈瘤

概要・推奨

概要

  • 食道・胃静脈瘤は、主に肝硬変などが原因で門脈の圧力が上昇する「門脈圧亢進症」によって形成される側副血行路の一種です。
  • 門脈圧が持続的に高い状態(一般に200 mmH₂O以上)になると、門脈系の血液が肝臓を迂回して大循環系へ流れ込むようになり、食道や胃の粘膜の下にある静脈がこぶのように拡張・蛇行して静脈瘤となります。
  • わが国における門脈圧亢進症の最も多い原因は肝硬変です。
  • 食道静脈瘤は、門脈圧が12 mmHg以上になると発生するとされています。
  • 食道下部には「すだれ様静脈」と呼ばれる特殊な血管構造があり、これが静脈瘤の発生に深く関与しています。
  • 静脈瘤は無症状で経過することが多いですが、破裂すると大量の吐血や下血を引き起こし、生命に危険が及ぶことがあります。
  • 診断は主に上部消化管内視鏡検査によって行われます。内視鏡所見では、静脈瘤の占居部位、形態(F)、色調(C)、発赤所見(RC)などが評価され、これらは出血の危険性を予測する上で重要です。特に発赤所見(RC sign)は出血の危険因子とされています。
  • 治療法には、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)や内視鏡的硬化療法(EIS)などの内視鏡治療、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)などのIVR(インターベンショナルラジオロジー)、外科手術があります。

推奨

  • 出血リスクの高い食道・胃静脈瘤(内視鏡所見で形態F2以上、または発赤所見(RC sign)陽性)に対しては、予防的治療を行うことが推奨されます。
  • 食道・胃静脈瘤の初回出血を予防する薬物療法として、非選択的β遮断薬や一硝酸イソソルビドの投与が提案されます。
  • 食道静脈瘤の予防的治療として、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)や内視鏡的硬化療法(EIS)が推奨されます。