急性下痢

概要・推奨

概要

  • 急性下痢は、感染性や非感染性など多様な原因によって引き起こされます。
  • 感染性の原因として最も頻度が高いのはウイルス性腸炎で、ノロウイルスやロタウイルスなどが含まれます。
  • 細菌性腸炎の原因には、カンピロバクター属、サルモネラ属、腸管出血性大腸菌、赤痢菌などがあります。
  • 特定の状況で起こる下痢として、海外渡航に関連する旅行者下痢症があり、その主な原因は毒素原性大腸菌です。
  • 非感染性の原因には、薬剤の副作用による薬剤性下痢や、ストレスなどが関与する心因性下痢があります。
  • 抗菌薬の使用に関連して発症するクロストリジオイデス・ディフィシル感染症は、院内感染や医療関連感染における下痢の重要な原因です。
  • 多くの急性下痢は自然に軽快する傾向があり、診療の基本は脱水の評価と適切な水分・電解質の補給であり、抗菌薬は不要になることが多いです。
  • 止痢薬は、特に細菌性腸炎が疑われる場合には病原体の排出を遅らせる可能性があるため、使用は推奨されません。

推奨

  • 急性下痢の診療では、まず全身状態と脱水の程度を評価し、経口補水液の摂取や輸液の必要性を判断することが推奨されます。
  • 問診では、下痢の性状(水様便、血便など)、発熱の有無、腹痛の程度、喫食歴、海外渡航歴、基礎疾患の有無などを聴取し、原因を推定します。
  • 血便、高熱、強い腹痛、菌血症を疑う徴候(悪寒戦慄など)、または免疫不全などの背景がある場合は、重症化や合併症のリスクが高いと考え、より慎重な対応が求められます。