成人T細胞白血病・リンパ腫

概要・推奨

概要

  • 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)の持続感染によって引き起こされる、CD4陽性T細胞由来の成熟T細胞腫瘍です。
  • 主に九州地方を中心とした西南日本に多発する特徴があります。
  • HTLV-1キャリアの生涯発症率は2~5%とされ、日本では年間約1,000人が発症します。
  • 発症平均年齢は68歳前後と高齢化が進んでいます。
  • 主な感染経路は母乳を介した母子感染と考えられています。
  • 臨床症状は多彩で、特徴的な核形態を持つ異常リンパ球(flower cell)の増殖に加え、全身のリンパ節腫脹、肝臓や脾臓の腫大、様々な皮膚病変、高カルシウム血症、日和見感染症などが認められます。
  • 臨床経過に基づき、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4つの病型に分類されます。
  • このうち、急性型、リンパ腫型、および予後不良因子(LDH高値、アルブミン低値、BUN高値)を持つ慢性型は「アグレッシブATL」と呼ばれ、急速な経過をたどることが多く予後不良です。2010〜2011年に発症した770例の全国予後調査において、4年生存率は急性型で16.8%、リンパ腫型で19.6%と報告されています。
  • 予後不良因子を持たない慢性型とくすぶり型は「インドレントATL」と呼ばれ、比較的緩徐な経過を示します。2010〜2011年の全国予後調査において、4年生存率は予後不良因子を持たない慢性型で62.1%、くすぶり型で59.8%と報告されています。

推奨

  • 診断は、HTLV-1感染の証明、末梢血中の特徴的な異常リンパ球(flower cell)の存在、高カルシウム血症、血清LDH高値などの臨床所見、および病理組織学的検査などを基に総合的に行われます。
  • 治療方針は、臨床病型がアグレッシブATLかインドレントATLかによって決定されます。
  • インドレントATL(予後不良因子を持たない慢性型、くすぶり型)に対しては、生存期間を延長させる有効な早期治療法が確立されていないため、アグレッシブATLへ病型が進展するまで無治療で経過観察を行うことが推奨されます。