結核性髄膜炎

概要・推奨

概要

  • 結核性髄膜炎(TBM)は全結核の約1%を占める重篤な疾患で、結核菌が髄膜腔に播種することで発症します。初感染後に引き続いて起こる場合と、潜伏していた結核菌の再活性化によって起こる場合があります。小児やHIV未治療患者に多く、高齢者や免疫抑制状態の患者でも発症します。
  • 脳底部髄膜炎の形態をとり、脳神経障害、水頭症、脳梗塞などの重篤な合併症を伴いやすいのが特徴です。しばしば粟粒結核を合併しますが、単独で発症することもあります。
  • 髄液検査では、リンパ球優位の細胞数増加、蛋白増加、髄液糖低下が特徴的です。ただし、髄液からの結核菌検出の感度は低く、塗抹検査で約10-20%、培養で40-70%、PCRでも50%前後と決して高くありません。培養結果には3-4週間を要するため、臨床診断に基づく早期治療開始が極めて重要です。
  • 画像検査では、CTやMRIによる脳底部髄膜の造影増強効果が特徴的な所見です。水頭症や梗塞像を認めることもあり、これらの所見は診断の補助として有用です。
  • 結核性髄膜炎患者の40-50%にしか肺結核病変を認めないため、肺病変がないことをもって診断を否定してはいけません。

推奨

  • 治療期間は標準的な肺結核の6ヵ月間から延長し、合計12ヵ月間(初期2ヵ月の4剤治療+維持期10ヵ月の2剤治療)が推奨されます。
  • 死亡率や後遺症の発症率を改善するため、抗結核薬に加えて副腎皮質ステロイドを併用することが推奨されます。デキサメタゾン0.15mg/kg/日を3週間投与し、その後3週間かけて漸減する方法が標準的です。プレドニゾロンを使用する場合は2倍量とします。
  • 意識障害が進行してから治療を開始しても神経予後は不良です。髄膜炎の所見を認め、他の診断がつかない場合は、結核性髄膜炎として早急に治療を開始すべきです。