膀胱癌

概要・推奨

概要

  • 膀胱癌は泌尿器に発生する癌の一つで、日本では男性が女性の約4倍多く罹患します。特に高齢者に多く、患者の80%が65歳以上です。
  • 膀胱癌の最大の危険因子は喫煙です。その他、特定の化学物質への職業的な暴露、尿路の慢性的な炎症などもリスクを高めることが知られています。
  • 膀胱癌のほとんどは、尿路上皮から発生する尿路上皮癌です。臨床的には、癌が膀胱の筋層に達しているか否かで、筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)と筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)に大別されます。初発患者の約75%はNMIBCです。
  • 主な初期症状は肉眼的血尿で、その他に頻尿や排尿時痛などの膀胱刺激症状が見られることもあります。
  • 診断は、まず膀胱鏡検査で膀胱内を直接観察し、腫瘍の有無や性状を確認します。確定診断のためには、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)で腫瘍組織を採取し、病理組織学的に評価することが不可欠です。
  • 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)の治療は、TURBTが基本となります。TURBT後、再発や進行のリスクに応じて、抗癌剤やBCG(ウシ型弱毒結核菌)の膀胱内注入療法を追加します。
  • 筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)の標準治療は、膀胱をすべて摘出する膀胱全摘除術とリンパ節郭清、そして尿路変向術です。手術前に術前補助化学療法としてシスプラチンを含む化学療法を行うことで、生存率の改善が期待できます。
  • 遠隔転移を有するStage IVの膀胱癌では、全身化学療法が治療の中心となります。一次治療としてはゲムシタビンとシスプラチンを併用するGC療法が広く用いられ、二次治療では免疫チェックポイント阻害薬などが使用されます。

推奨

  • 膀胱癌が疑われる症状、特に肉眼的血尿を認める患者さんには、膀胱鏡検査を行うことが推奨されます。
  • 膀胱癌の診断やTURBTの際には、光力学診断(PDD)や狭帯域光観察(NBI)といった腫瘍可視化技術を用いることで、微小な病変や平坦な病変の検出率が向上するため推奨されます。
  • 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)のうち、高リスク群(T1 high gradeなど)に対しては、初回TURBT後に再度TURBT(2nd TUR)を行い、腫瘍の残存や正確な深達度を確認することが推奨されます。