全身の疼痛
概要・推奨
概要
- 痛みは、国際疼痛学会(IASP)によって「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こり得る状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」と定義されています。
- 慢性疼痛は、典型的には3カ月以上持続する、または通常の治癒期間を超えて持続する痛みを指します。
- 慢性疼痛の病態には、繰り返しの刺激で神経が変化する可塑性が関与する疼痛感作(末梢性感作および中枢性感作)が関わっており、心理社会的な問題とも関連して病態をより複雑にしています。
- 慢性疼痛は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛などの要因が複雑に絡み合った混合性疼痛であることが多く認められます。。
- 慢性疼痛の患者では、痛み以外にも抑うつ、不安、睡眠障害、日常生活動作(ADL)の低下といった多彩な症状や徴候を伴うことがあります。
- 痛みが長引くと、破局的思考などの心理社会的因子との相互作用により難治化、重症化し、生活の質(QOL)の低下や生活障害をきたす悪循環が生じることがあります。
- 慢性疼痛治療にはプラセボ効果があることが示されており、その機序には脳内の内因性オピオイドや下行性疼痛抑制系が関与すると考えられています。
推奨
- 痛みを完全に消失させることは困難であるとの認識を持ちながら、疼痛管理を最適化することが推奨されます。
- 治療の目的として、痛みの軽減だけでなく、機能的能力、身体的・精神的健康、および生活の質(QOL)を向上させることを目指すべきです。
- 治療による有害転帰(副作用)を最小化することが推奨されます。