多系統萎縮症

概要・推奨

概要

  • 多系統萎縮症は、孤発性で成年期以降に発症する進行性の神経変性疾患です。
  • 従来、オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、Shy-Drager症候群とされていた3つの疾患を包括する疾患概念として確立されました。
  • 主な症状としてパーキンソニズム、小脳性運動失調、自律神経障害(排尿障害、起立性低血圧など)を呈します。
  • 病気の進行に伴い、これらの症状が重複してみられるようになり、錐体路徴候も顕著になります。
  • 臨床的には、パーキンソニズムが主体の病型(MSA-P)と、小脳失調が主体の病型(MSA-C)に分類されます。日本人ではMSA-Cが多く、欧米人ではMSA-Pが多いと報告されています。
  • パーキンソニズムに対するレボドパの効果は乏しいことが多いですが、早期には一過性に反応がみられることがあります。病理学的には、脳の神経細胞やグリア細胞、特にオリゴデンドログリアにαシヌクレインというタンパク質が異常に蓄積してグリア細胞質内封入体を形成することが特徴です。
  • 他の脊髄小脳変性症やパーキンソン病よりも進行が速く、発症から介助歩行までの中央値は3年、車椅子移動までの中央値は5年、死亡までの中央値は9年と報告されています。

推奨

  • 診断には、2022年に発表された第3回Movement Disorder Society診断基準の使用が推奨されますが、2008年の第2回Consensus Criteriaも臨床現場で広く使用されています。
  • 障害の程度を評価する目的で、統一多系統萎縮症評価尺度(UMSARS)が使用されます。
  • 診断において自律神経障害の有無と重症度の判定は必須であり、起立試験(シェロング試験)や、残尿量測定のための膀胱用超音波画像診断装置を用いた検査を行うことがあります