エムポックス(サル痘)
概要・推奨
概要
- エムポックスは、オルソポックスウイルス属のモンキーポックスウイルスによる急性発疹性疾患であり、日本では4類感染症に位置づけられています。
- 伝播様式は、患者の皮膚病変、近接した対面での呼吸器飛沫への長時間の曝露、患者が使用した寝具などの媒介物を介した接触が知られています。
- 2022年5月以降の世界的な流行では、主に男性間での性的接触が主な感染経路とされています。
- ウイルスにはクレードIとクレードIIがあり、クレードIの方が死亡率が高いと報告されています。2022年からの流行は主にクレードIIbによるものですが、2023年からはアフリカを中心にクレードIbの流行が拡大しており、家庭内感染や異性間の性的接触による伝播も報告されています。
- 古典的な症状は、発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状の後に、顔面から全身に広がる皮疹が出現します。皮疹は紅斑から丘疹、水疱、膿疱、痂皮へと段階的に移行し、同一経過をたどることが特徴です。
- 2022年以降の流行では、前駆症状がなかったり、皮疹が肛門周囲や口腔などに限局したり、異なる段階の皮疹が混在したりするなど、非典型的な臨床像も報告されています。
- HIV未治療で免疫不全が進行した患者では、症状が重症化、長期化し、播種性の病変をきたす可能性があります。
推奨
- エムポックスを疑う患者を診察する際は、接触、飛沫、空気予防策を実施し、医療従事者はN95マスク、手袋、ガウン、眼の防護具を適切に着用することが推奨されます。
- 確定診断には、病変部からの検体を用いたPCR検査が必要です。
- 治療の基本は支持療法と疼痛コントロールですが、重症例や重度の免疫不全、小児、妊婦などの重症化ハイリスク例に対しては、抗ウイルス薬(テコビリマット)による早期の治療介入が推奨されます。