線維筋痛症
概要・推奨
概要
- 線維筋痛症は、身体の広範な部位に原因不明の慢性疼痛と全身性のこわばりを主症状とするリウマチ性疾患です。
- 随伴症状として、疲労感、睡眠障害、抑うつ気分、頭痛、しびれ感、過敏性腸症候群、ドライアイ・ドライマウスなど、多彩な身体・精神・神経症状を伴います。
- 痛みの性質は、侵害受容性疼痛ではなく、痛みの情報伝達経路の異常など中枢神経系の機能障害が関与する中枢性疼痛と考えられており、中枢感作症候群の一つに分類されます。
- 中年以降の女性に好発し、本邦における有病率は人口の約1.7~2.1%と推定され、患者数は約200万人とされています。
- 生命予後に直接的な影響はありませんが、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を著しく低下させることがあります。
- 診断は、3ヵ月以上持続する広範囲の疼痛に加え、身体の特定部位の圧痛点の確認(1990年米国リウマチ学会分類基準)、または疼痛の広がりと随伴症状の重症度を評価する基準(2010年ACR診断予備基準)に基づいて行われます。
- 血液検査や画像検査では、症状を説明できる特異的な異常を認めないことが特徴です。
- 関節リウマチやシェーグレン症候群などのリウマチ性疾患、うつ病、慢性疲労症候群などとしばしば併存します。
推奨
- 薬物療法では、神経障害性疼痛治療薬であるプレガバリン、およびセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるデュロキセチンが、鎮痛効果のために推奨されます。
- 三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)や、弱オピオイド鎮痛薬であるトラマドールも痛みの緩和に有効な場合がありますが、副作用や依存性のリスクから慎重な投与が推奨されます。
- 強オピオイド鎮痛薬は、依存性などのリスクから原則として使用は推奨されません。