過食
病態・疫学・診察
病態の生物学的側面
- 摂食障害は生物学的な基盤を有する精神障害と捉えられており、遺伝的要因、セロトニン仮説、その他の神経伝達物質、認知機能の障害などが関連しているとされます。
- 家族研究や双生児研究から摂食障害の遺伝率は50%から83%と計算されますが、他の精神障害と比較すると低い数字です。
- 脳脊髄液中のセロトニン代謝物質の変動や強迫性障害との併存から、摂食障害を強迫スペクトラム障害の一つと見なす説がありましたが、薬物療法の有効性が限定的であることから、この考え方には疑問が呈されています。
- 視床下部-下垂体系、ノルアドレナリン、ドパミン、レプチンなどの物質も病因との関連が研究されてきましたが、これらが低栄養や異常な摂食行動の結果ではないと証明するには至っていません。
- 認知機能の面では、環境の変化に柔軟に反応する能力(セットシフト)の困難さや、全体を見渡す能力(セントラル・コヒアレンス)の障害が報告されています。
病態の心理社会的側面
- 摂食障害の臨床像や精神病理は時代背景とともに変化し、文化結合症候群の側面を持ちますが、気分障害や不安障害などの併存症から病因を理解しようとする様々なモデルも提唱されています。
- 宗教的な断食から現代的な美容のためのダイエットへの移行が摂食障害の広がりの背景にあり、中心的な精神病理は肥満恐怖から身体像の障害へと変化してきました。