糞線虫症

概要・推奨

概要

  • 糞線虫症は、糞線虫 Strongyloides stercoralis による消化管寄生虫感染症です。
  • 世界的にはアフリカ、アジア、および南アメリカの熱帯・亜熱帯に広く分布し、約5,000万~1億人の保虫者がいると推定されています。
  • 日本国内の主な浸淫地は沖縄・奄美地方であり、他の地域での保虫者の多くはこれらの浸淫地の出身者です。海外からの輸入感染は稀とされています。
  • 沖縄県では現在も約2万人の感染者が存在すると推定されていますが、そのほとんどが60歳以上の高齢者です。
  • 沖縄県や鹿児島県の一部を含む南西諸島は、成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATLL)の原因ウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の浸淫地でもあり、糞線虫との重複感染がしばしば認められ、問題となっています。
  • HTLV-1感染者では糞線虫に対する免疫反応が低下していると推測され、糞線虫感染率が高く、治療抵抗性を示し、重症化しやすいことが報告されています。
  • 感染型幼虫が汚染された土壌から経皮感染し、体内で成虫となります。成虫が産んだ虫卵から孵化した幼虫は、便と共に体外へ排出されます。
  • 糞線虫は、幼虫が腸管内や肛門周囲から体内に再侵入する「自家感染」という特殊な経路を持ちます。このため、感染者は長期にわたり糞線虫に感染した状態となります。
  • 腸内細菌による細菌性髄膜炎の患者さんには播種性糞線虫症を除外することが重要です。

推奨

  • 糞線虫症の診断には、便からラブジチス(R)型幼虫を証明することが推奨されます。
  • 幼虫の検出方法としては、普通寒天平板培地法が最も感度が高く推奨されます。
  • 疑う場合は、検査は1回だけでなく、複数回行うことが望ましいです。