ヘパリン起因性血小板減少症
概要・推奨
概要
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は、ヘパリン投与が誘因となり、ヘパリンと血小板第4因子(PF4)の複合体に対する抗体(HIT抗体)が産生される疾患です。
- 産生されたHIT抗体は、血小板や単球などを活性化させてトロンビンの過剰産生を惹起し、血小板減少をきたすとともに血栓塞栓症を引き起こします。血栓症を伴うHITはHIT-T(HIT with thrombosis)と呼ばれます。
- 未分画ヘパリン投与患者のHIT抗体陽性率は8〜17%ですが、実際に血小板減少や血栓症を発症するのは0.2〜3%程度です。しかし、適切な治療が行われないと20〜50%の症例で血栓塞栓症を引き起こし、死亡率は20%に及びます。
- 主な症状は血小板減少症と動静脈血栓症です。血小板数は発症前の30〜50%まで減少しますが、出血傾向は典型的にはみられず、20×103/μL未満の高度な血小板減少になることはほとんどありません。
- 血栓塞栓症は、動脈血栓症よりも静脈血栓症(深部静脈血栓症やカテーテル関連血栓症など)が多くみられます。
- 発症様式により分類され、約70%はヘパリン投与5〜14日後に発症する通常発症型HITです。その他、100日以内にヘパリン曝露歴がある患者への再投与後24時間以内に発症する急速発症型HITや、ヘパリン中止後数日〜数週間後に発症する遅延発症型HITなどがあります。
推奨
- HIT発症高リスク患者では、HITのスクリーニングを行うことを推奨します。中等度リスク患者では行うことを提案し、低リスク患者では行わないことを提案します。
- すべての患者でヘパリン投与開始前に血小板数の測定を行うことを推奨します。
- 過去100日以内にヘパリンの投与を受けたことのない患者では、ヘパリン投与開始後4〜14日目まで、もしくは投与終了まで血小板数をモニターすることを推奨します。