アルコール依存症

概要・推奨

概要

  • アルコール依存症は、精神作用物質であるアルコールを繰り返し摂取することで、その使用をコントロールできなくなり、他のいかなる行動よりも飲酒を優先するようになる状態を指します。
  • 世界保健機関(WHO)のICD-10診断基準では、「強い飲酒欲求(渇望)」「飲酒行動のコントロール困難」「離脱症状」「耐性の増大」「飲酒中心の生活」「有害な結果にもかかわらず飲酒を続ける」の6項目のうち、過去1年間に3項目以上が認められる場合にアルコール依存症と診断されます。
  • わが国では、これまでにアルコール依存症と診断された経験のある人は107万人と推定されていますが、実際に専門治療を受けている患者は約5万人にとどまり、多くの患者が見過ごされているのが現状です。
  • アルコールは、肝障害、うつ病、不安障害、高血圧、糖尿病、脂質異常症、認知症、がんなど200以上の疾患や傷害の原因となることが報告されています。
  • 妊娠中のアルコール摂取は、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)など、母体と児に多岐にわたる健康問題を引き起こす可能性があります。
  • 治療目標は、従来は完全な断酒の達成とその継続が中心でしたが、近年では、直ちに断酒が困難な患者に対して飲酒量を減らす「飲酒量低減(ハームリダクション)」も治療選択肢の一つとして導入されています。

推奨

  • 生活習慣病のリスクを高める飲酒(1日平均純アルコール量で男性40g以上、女性20g以上)をする患者には、アルコール依存症の可能性を考慮し、スクリーニングテスト(AUDIT-Cなど)を用いることが推奨されます。
  • アルコール依存症の診断は、国際的に用いられているICD-10の診断基準に基づいて行うことが推奨されます。
  • 治療目標は、原則として断酒の達成とその継続です。特に、重症のアルコール依存症や重篤な身体・精神合併症がある場合は、断酒を治療目標とすることが強く推奨されます。