貧血

概要・推奨

概要

  • 貧血とは、末梢血中の赤血球数、ヘモグロビン(Hb)濃度、ヘマトクリット(Ht)といった赤血球成分が不足した状態を指します。臨床現場では一般的にHb濃度を指標として判断されます。WHOの基準では、成人男性でHb濃度13.0 g/dL以下、成人女性で12.0 g/dL以下が貧血とされます。
  • 貧血は症候名であり、必ず原因疾患が存在します。原因は大きく、①赤血球産生の低下、②赤血球破壊の亢進(溶血)、③赤血球の喪失(出血)の3つに分類されます。
  • 赤血球産生の低下をきたす病態には、造血細胞自体の異常(白血病、骨髄異形成症候群など)、造血環境や免疫の異常(再生不良性貧血、赤芽球癆など)、造血に必要な因子の不足(鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、腎性貧血など)があります。
  • 赤血球破壊の亢進(溶血)をきたす病態には、赤血球自体の異常(遺伝性球状赤血球症、発作性夜間ヘモグロビン尿症など)、自己免疫や薬剤によるもの、機械的刺激によるもの、脾腫などがあります。
  • 赤血球の喪失は、外傷や消化管出血などの出血によって起こります。
  • 貧血の鑑別診断を進めるうえで、平均赤血球容積(MCV)の値に基づき、小球性、正球性、大球性に分類するアプローチが有用です。

推奨

  • 造血不全(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群など)による慢性貧血で、Hb濃度が6~7g/dLを目安に赤血球輸血を行うことが推奨されます。
  • 敗血症を合併している貧血患者さんに対しては、Hb濃度7g/dLを目安に赤血球輸血を行うことが推奨されます。
  • 鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏症など、原因に対する補充療法が可能な貧血では、生命の維持に支障をきたす可能性がある場合を除き、原則として赤血球輸血は推奨されません。