前置胎盤

概要・推奨

概要

  • 前置胎盤の分娩前診断は超音波断層法の画像診断によってなされますが、その描出は子宮収縮、子宮下節の状態、膀胱の尿容量、出血などにより影響を受けやすく、所見や診断が異なることがあります。
  • 子宮増大や子宮下節の伸長に伴い胎盤の位置関係が変化するため、前置胎盤の確認は妊娠20週以降に行います。判断が難しい場合は、診断を「前置胎盤疑い」とし、妊娠32週時に改めて診断します。分娩時期や分娩様式を決定するために妊娠36週前後には診断を確定する必要があります。
  • 前置胎盤はしばしば緊急帝王切開となり、平均分娩週数は妊娠34〜35週です。
  • 帝王切開時の出血量も多く、輸血が必要となる症例も多いため、緊急帝王切開が必要になってからの母体搬送は危険です。
  • 警告出血があった患者の7割に緊急帝王切開が必要であったとの報告があるため、出血した患者には入院管理が考慮されます。
  • 出血が大量で危機的と判断される場合は、妊娠週数にかかわらず母体救命を優先した処置が必要です。
  • 前置癒着胎盤の頻度は、帝王切開既往回数に応じて増加し、手術既往のない子宮で3%、1回で11%、2回で39%、3回以上で60%と報告されています。
  • 超音波、カラーDoppler、MRI検査所見などを用いることで癒着胎盤の診断精度は向上していますが、単純癒着胎盤や浸潤の浅い侵入胎盤の術前診断は困難です。

推奨

  • 前置胎盤で「自院では緊急時の対応困難」と判断した場合は、遅くとも妊娠32週末までに高次施設受診が完了するようにします。下記の管理体制が整っていない場合には、妊娠28週以降の出血リスクも考慮し、早めの紹介が望まれます。
  • 前置胎盤患者を「自院で管理」する場合は、夜間・休日でも緊急帝王切開や、早産児・低出生体重児の管理が実施できる体制を整えます。
  • 予定帝王切開はリスクに応じて妊娠38週までに行います。