急性大動脈解離
概要・推奨
概要
- 急性大動脈解離とは、大動脈の壁が中膜のレベルで2層に剥離し、本来の内腔である真腔と、壁内に新たに生じた偽腔の2腔になった状態をいいます。
- 発症メカニズムは完全には解明されていませんが、高血圧や遺伝性結合織疾患などを背景とした脆弱な中膜に、血行力学的な負荷が加わって発症すると考えられています。
- 突然発症する引き裂かれるような激しい胸背部痛が典型的な症状ですが、失神で発症することや、約6%は無痛性であることも報告されています。
- 病態は、破裂による心タンポナーデや胸腔・腹腔内出血、大動脈の分枝への血流障害(malperfusion)による重要臓器の虚血(脳梗塞、心筋梗塞、腸管虚血など)、大動脈弁閉鎖不全による心不全など多岐にわたります。
- 分類には、解離の範囲によるStanford分類(A型:上行大動脈に解離があるもの、B型:上行大動脈に解離がないもの)やDeBakey分類、偽腔の血流状態による分類(偽腔開存型、ULP型、偽腔閉塞型)、病期による分類(急性期:発症後2週間以内、亜急性期:2週~3ヵ月、慢性期:3ヵ月以降)が用いられます。
*
推奨
- 急性大動脈解離を疑う場合は、速やかな画像診断が推奨されます。
- Stanford A型大動脈解離は、偽腔開存型であれば緊急外科手術が推奨されます。偽腔閉塞型の場合も緊急外科手術が考慮されますが、厳重な管理下での内科治療も選択肢となります。
- Stanford B型大動脈解離では、合併症(破裂、malperfusion、持続する痛み、コントロール不能な高血圧など)を伴うcomplicated型に対しては、胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)を主とした侵襲的治療が推奨されます。