熱中症
概要・推奨
概要
- 熱中症は、「暑熱環境に居る、あるいは居た後」に、めまい、失神、大量の発汗、筋肉痛、頭痛、嘔吐、倦怠感、意識障害、痙攣、高体温等の諸症状を呈するもので、他の原因疾患を除外したものと診断されます。
- 病態は「熱そのものによる暑熱障害」と、水分摂取不足や発汗過多による「脱水」に大別されます。高体温の遷延による神経細胞障害や循環血液量減少に加え、炎症性サイトカインの増加や播種性血管内凝固(DIC)の発症により、多臓器不全に至ることがあります。
- 熱中症による死亡者数は毎年1000人を超える状況が続いています。2023年の全国の熱中症搬送者数は91,467人で、年齢区分別では高齢者が最も多く、発生場所別では住居が最多となっています。
- 従来の重症度分類に加え、最重症群を「Ⅳ度」として同定し、Active Coolingを含めた集学的治療を早急に開始することが提唱されています。また、深部体温測定前に迅速な対応を促すため、「qⅣ度」(表面体温40.0℃以上もしくは皮膚に明らかな熱感あり、かつGCS≦8もしくはJCS≧100)も提唱されています。
- 治療は「暑熱障害」と「脱水」に応じた診療が必要で、軽症例ではPassive Cooling(クーラーや日陰の涼しい部屋で休憩)と水分補給で軽快しますが、重症例に対してはActive Coolingが必要になります。
- Active Coolingとは、冷水浸水、蒸散冷却、血管内体温管理療法など、何らかの方法で患者の身体を冷却することを指し、冷蔵庫で保管した輸液の投与や涼しい部屋での休憩(Passive Cooling)は含まれません。
推奨
- 最重症(Ⅳ度)と判断される患者群を同定し、Active Coolingを含めた集学的治療を早急に開始することが推奨されます。
- 重症熱中症において死亡率を改善するためには、点滴加療だけでなく、早急にActive Coolingを含めた集学的治療を行うことが推奨されます。
- 重症熱中症に対して、従来のActive Cooling(冷水浸水、蒸散冷却法、氷嚢など)では目標体温を38.0~38.5℃として速やかに冷却することが推奨されます。