原発性マクログロブリン血症
概要・推奨
概要
- リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)は、小型B細胞リンパ球、形質細胞への分化傾向にあるリンパ球、形質細胞が混在したリンパ系腫瘍です。ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)は、骨髄浸潤とIgM型M蛋白血症を伴うLPLのサブセットとして定義され、LPLの90〜95%を占めます。
- LPL/WMの約4分の1は無症候性です。
- 骨髄浸潤が高度である場合には貧血や血小板減少が認められます。IgM蛋白濃度が高値になると過粘稠度症候群をきたし、視力障害や脳血管障害を起こし得ます。
- 自己免疫疾患、寒冷凝集素症、クリオグロブリン血症、末梢神経障害、アミロイドーシス、後天性von Willebrand病による凝固・出血障害などを合併することがあります。
- 中枢神経に浸潤した場合はBing-Neel症候群と呼ばれます。
- 前癌病態として、IgM型M蛋白が3 g/dL未満で骨髄中の腫瘍細胞の割合が10%未満、かつ症状がない場合はIgM-MGUS(IgM monoclonal gammopathy of undetermined significance)と呼ばれます。年に1〜5%がLPL/WMやその他のB細胞リンパ腫に進展します。
- 約90%の症例でMYD88 L265P変異が、約30%の症例でCXCR4遺伝子の変異が認められます。また、約30〜50%の症例で6番染色体長腕欠失が認められます。
- 臨床経過は一般に緩徐であり、生存期間中央値は5〜10年以上です。
- 症候性WMの予後予測指標として、年齢、β2ミクログロブリン、血清LDH、血清アルブミンを用いたrevised IPSSWMが報告されています。
推奨
- 症状がない場合は無治療で経過観察し、WMに関連した臨床症状や合併症が出現した時点で治療を開始することが推奨されます。
- 症候性の過粘稠度症候群を合併した場合や、リツキシマブを含む治療を開始する前で血清IgM値が4,000mg/dL以上の場合は、血漿交換を行うことが推奨されます。血漿交換後は速やかに化学療法を施行します。
- 未治療の症候性WMに対する初回治療として、チラブルチニブの単剤療法、またはリツキシマブ、アルキル化薬、プロテアソーム阻害薬、イブルチニブなどを含む併用療法が推奨されます。