内ヘルニア・横隔膜ヘルニア

概要・推奨

概要

  • 内ヘルニアおよび横隔膜ヘルニアは、腹腔内の正常または異常な間隙に臓器が脱出する病態であり、絞扼性腸閉塞や呼吸循環不全を引き起こす緊急性の高い疾患群です。
  • 内ヘルニアは腹腔内の陥凹や術後に生じた腸間膜の間隙を門とし、成人では胃バイパス術後などの医原性や先天的な解剖学的異常が原因となります。
  • 横隔膜ヘルニアは横隔膜の欠損部を通じて腹腔内臓器が胸腔内へ脱出するもので、小児の先天性横隔膜ヘルニア(CDH)と、成人の外傷性、食道裂孔ヘルニア、および遅発性に発見される先天性欠損(Bochdalek、Morgagniなど)に分けられます。
  • いずれも嵌頓による血流障害や臓器壊死のリスクがあるため、迅速な画像診断と外科的介入の判断が不可欠です。

推奨

  • 急性腹症やイレウス症状を呈する患者に対しては、内ヘルニアを念頭に置いた迅速な胸腹部造影CT検査の実施が推奨されます。
  • 特に腹部手術歴(胃バイパス術、生体肝移植術、直腸癌手術など)がある患者の急性発症イレウスでは、腸間膜間隙などによる内ヘルニアを強く疑い、絞扼の徴候を見逃さないことが重要です。
  • 横隔膜ヘルニアが疑われる場合は、胸部X線およびCTによって脱出臓器の評価と還納の可否を確認し、絞扼の疑いがある場合は直ちに緊急手術を検討することが推奨されます。