誤嚥性肺炎
概要・推奨
概要
- 誤嚥性肺炎は、「誤嚥のリスクがある宿主に生じる肺炎」と定義されます。
- 誤嚥のリスクには、嚥下機能低下(神経疾患、認知症、慢性閉塞性肺疾患など)と胃食道機能不全(胃食道逆流、経腸栄養など)があり、多くは加齢に伴う全身の衰弱が関連しています。
- 誤嚥性肺炎の患者は、高齢かつ低栄養状態で、脳血管障害、認知症、寝たきりといった併存症を高頻度に有することが特徴です。
- 誤嚥性肺炎は発症機序を反映した疾患概念であり、市中肺炎(CAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)、院内肺炎(HAP)のそれぞれに含まれます。特にNHCAPの多くは誤嚥性肺炎と考えられています。
- 市中肺炎(CAP)において誤嚥性肺炎は予後不良因子であり、入院中および30日後の死亡を約3.5倍上昇させることが報告されています。
- 原因菌として、気管支肺胞洗浄液の細菌叢解析では口腔内常在菌であるレンサ球菌や嫌気性菌が優位に検出される例が報告されていますが、嫌気性菌の関与については議論されています。
- 診断は、誤嚥のリスクを確認することに加え、嚥下機能評価や胸部画像所見を基に総合的に判断されます。嚥下機能の評価方法としては、嚥下造影検査および嚥下内視鏡検査がゴールドスタンダードとされます。
- 繰り返す誤嚥性肺炎は老衰の終末期として捉えることができ、患者様の意思やQOLを考慮した緩和的なケアを検討することも重要となります。
推奨
- 誤嚥性肺炎の治療において、嫌気性菌をカバーする抗菌薬の使用については、推奨度が決定不能(中立)です。
- 抗菌薬選択の基本はペニシリン系薬であり、注射薬ではスルバクタム・アンピシリンが第一選択となります。
- MRSAや緑膿菌は定着菌である可能性も多く、当初から抗MRSA薬や抗緑膿菌活性を有する広域抗菌薬を選択することが予後を改善するという明確なエビデンスは示されていません。薬剤耐性対策の観点からも、当初からの広域抗菌薬の使用は避けるべきです。