消化管ポリポーシス
概要・推奨
概要
- 消化管ポリポーシスは、消化管に多数のポリープが発生する疾患群の総称です。遺伝性の有無やポリープの組織型によって分類されます。
- 遺伝性大腸ポリポーシスは、組織型により、腺腫性ポリポーシス、過誤腫性ポリポーシス、鋸歯状ポリポーシスの3型に分類できます。
- 代表的な腺腫性ポリポーシスとして、家族性大腸腺腫症(FAP)があります。これはAPC遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントを原因とする常染色体顕性遺伝性の疾患です。
- FAPでは、Wntシグナル経路に関与するAPC遺伝子の機能が失われることにより、細胞の増殖が亢進し、多数の腺腫が発生します。
- FAPは、大腸に数百から数千個の腺腫が発生する「古典型」と、腺腫数が10個以上100個未満と少ない「attenuated型(AFAP)」に大別されます。古典型はさらに腺腫の密度により「密生型」と「非密生型」に分けられることがあります。
- FAPの頻度は、一般集団において約1:17,400〜1:20,000と推定され、全大腸癌に占める割合は1%未満ですが、治療介入がなければほぼ100%の確率で大腸癌を発症します。大腸癌と診断される平均年齢は39歳と報告されています。
- FAPでは、大腸以外にも胃底腺ポリポーシス、十二指腸腺腫、デスモイド腫瘍、甲状腺癌、骨腫、先天性網膜色素上皮肥大などの様々な随伴病変が好発します。
- 腺腫性ポリポーシスには、FAPの他、MUTYH関連ポリポーシス(MAP)、ポリメラーゼ校正関連ポリポーシス(PPAP)などが含まれます。これらは原因遺伝子により遺伝形式や臨床像、大腸外病変が異なります。
推奨
- 大腸腺腫性ポリポーシスが疑われる患者さんには、診断の確定、治療方針の選択、サーベイランス計画の立案、および血縁者のリスク評価のために遺伝学的検査の実施が推奨されます。
- 家族性大腸腺腫症(FAP)患者さんの大腸癌リスクを管理するため、定期的な大腸内視鏡検査によるサーベイランスが推奨されます。古典的FAPでは10歳代前半から1〜2年ごと、attenuated FAP(AFAP)では10歳代後半から2〜3年ごとに行うことが目安とされます。
- 大腸癌による死亡を回避するための確実な治療法は、大腸癌発生前の予防的大腸切除術です。標準術式として、大腸全摘・回腸囊肛門(管)吻合術(IPAA)が推奨されます。