過敏性腸症候群
概要・推奨
概要
- #### 過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛とそれに伴う便通異常(下痢や便秘)が慢性的に繰り返される機能性消化管疾患です。
- 診断には国際的な診断基準であるRome IV基準が用いられます。これは「最近3ヵ月間のうち週に1日以上、腹痛が繰り返し起こり、その腹痛が①排便に関連する、②排便頻度の変化に関連する、③便の形状(外観)の変化に関連する、のうち2項目以上を満たす」というものです。
- IBSの有病率は診断基準や調査方法によって差があり、世界全体では4〜10%、日本では2〜13%程度と報告されています。機能性便秘や機能性下痢などを含めたIBS関連疾患群では25%に及びます。
- 病態には、消化管運動異常、内臓知覚過敏、腸内細菌叢の変化、粘膜の微小な炎症や免疫異常、心理社会的ストレスなどが複雑に関与する「脳腸相関」の異常が基盤にあると考えられています。
- 便の性状に基づいて、便秘型(IBS-C)、下痢型(IBS-D)、混合型(IBS-M)、分類不能型(IBS-U)の4つの病型に分類されます。
- 生命予後に直接影響を及ぼす疾患ではありませんが、症状により著しく生活の質(QOL)が低下することが知られています。
推奨
- 警告症状(発熱、血便、体重減少など)や危険因子(50歳以上での発症など)がなければ、Rome IV基準を用いて診断することが推奨されています。器質的疾患を鑑別するために、大腸内視鏡検査や臨床検査を行うことが提案されます。
- 食事療法として、脂質、カフェイン、香辛料、乳製品など、症状を誘発しやすい食品を控えることが提案されます。また、適度な運動も症状改善に有用であるとされています。
- 薬物療法は病型や主症状に応じて選択されます。