前庭神経炎
概要・推奨
概要
- 前庭神経炎は、難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状を伴わない、突発性の回転性めまい症状をきたす疾患です。
- 原因はウイルス感染、特に潜伏感染している単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の再活性化などが推定されていますが、未だ明らかではありません。血流障害との関連を示唆する報告もあります。
- 従来、上前庭神経の障害が主体であると考えられてきましたが、近年の平衡機能検査の進歩により、上前庭神経炎と上・下前庭神経炎の双方の病態が存在するなど、障害部位の多様性が明らかになってきています。
- 本邦の1993年の調査では、罹患率は10万人あたり3.5人とされています。
- 発症年齢は40~50歳代に多く、性差はないとされていますが、男性にやや多いとの報告もあります。
- 季節性はないとされていますが、夏に多いという報告もあります。
- 再発はないとされていますが、再発例の報告もあります。
推奨
- 急性期の前庭神経炎を対象とした抗めまい薬の有効性についてエビデンスは乏しいですが、ベタヒスチンは末梢性めまいに対して有効である可能性があるため、使用を考慮してもよいです。
- 急性期の前庭神経炎において、シンナリジン20mgとジメンヒドリナート40mgの併用は、症状および日常生活動作の改善に有効である可能性があるため推奨されます。ただし、シンナリジンは日本では発売中止となっています。
- 急性期の前庭神経炎を対象とした制吐薬の有効性についてエビデンスは乏しいですが、第1世代の抗ヒスタミン薬は急性期のめまいに伴う悪心・嘔吐に有効であるため、使用を考慮してもよいです。