脳死状態
概要・推奨
概要
- 脳死状態とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態を指します。人工呼吸器などの生命維持装置によって心臓の拍動は一時的に維持されていますが、自発呼吸は完全に消失しています。
- 日本では「臓器の移植に関する法律」に基づき、本人が臓器提供の意思を書面で示しており、家族がそれを拒まない場合、または本人の意思が不明で家族が書面で承諾した場合に限り、脳死をもって人の死とされます。
- 脳死の診断は、厳格に定められた医学的基準と手順に基づいて行われます。
- 脳幹機能が保たれている植物状態(遷延性意識障害)とは明確に区別される病態です。
推奨
- 脳死判定は、脳死の原因となった原疾患が確実に診断されており、あらゆる治療を尽くしても回復の見込みがないと判断された場合にのみ、開始します。
- 判定に先立ち、深昏睡をきたしうる薬物(鎮静薬、筋弛緩薬など)の影響や、低体温、代謝・内分泌障害などの可逆的な要因を完全に除外します。
- 脳死判定は、深い昏睡、両側瞳孔の散大と固定、脳幹反射(対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭・咳反射)の完全な消失、平坦脳波および無呼吸テストによる自発呼吸の停止を確認します。脳波検査は高感度(2μV/mm)で15分間以上記録し、平坦な脳波であることを確認します。眼球損傷や内耳損傷を伴う鼓膜損傷または高位脊髄損傷により瞳孔散大固定や脳幹反射の確認が困難な場合は、確認できる項目をすべて評価したうえで脳血流の消失を確認することで、実施不能な評価項目を補うことができます。