本態性振戦

概要・推奨

概要

  • 本態性振戦は、最も頻度の高い運動異常症の1つです。軽微なものから食事や着衣などの日常生活動作が困難になるものまで様々です。
  • 主な症状は、特定の姿勢を保つとき(姿勢時振戦)や動作を行うとき(動作時振戦)に現れるふるえです。
  • 本態性振戦は上肢に最も多くみられ、次いで頭部、顔面、声帯、体幹および下肢に生じます。食事や服を着る、字を書くといった単純な動作やコップをもつなど姿勢を維持する際などにふるえが強くなるのが特徴です。
  • 本態性振戦は遺伝性、孤発性、老人性に分類されます。原因は不明ですが、約半数の患者で家族歴が認められます。
  • 有病率は一般人口の2.5~10%と推定されており、40歳以上では16人中1人が症状を抱えているとされますが、多くは医療機関を受診しません。発症年齢で分けると20歳代の若年発症と60歳代の高齢者発症の2群に分かれます。加齢とともに本態性振戦は悪化し、書字困難や食事、着衣などの際の巧緻運動障害を生じるようになります。
  • 症状は通常、緩徐に進行し、日常生活動作(書字、食事、整容など)に支障をきたす場合があります。安静時には振戦が軽減または消失することが特徴ですが、重症例では安静時にもみられることがあります。
  • 診断にあたっては、パーキンソン病など他の神経疾患に伴う振戦との鑑別が重要となります。

推奨

  • 診断においては、詳細な病歴聴取と神経学的診察を行います。本態性振戦の診断においては、振戦をきたす他の疾患(甲状腺機能異常症など)や薬剤性の振戦を除外します。。
  • 日常生活への支障の程度に応じて、治療介入の要否を判断します。軽度で生活への支障がない場合は経過観察としてもよいですが、中等度以上で日常生活や社会生活などに常時支障がある場合に薬物療法を開始します。
  • 薬物療法を開始する場合、第一選択薬としてプロプラノロール、アロチノロールまたはプリミドンの使用が推奨されます。