女性化乳房
概要・推奨
概要
- 男性において、乳腺組織が女性のように増大し、生理的範囲を超えて触知される状態です。片側または両側に発生し、約半数に圧痛を伴います。まれに乳汁分泌がみられることもあります。
- 乳腺組織におけるエストロゲン作用の増加やアンドロゲン作用の低下により、両者のバランスが崩れ、エストラジオール(E2)とテストステロン(T)の比率(E2/T比)が上昇することが原因とされています。組織学的には、乳管の増生や拡張、間質の増生がみられますが、多くの場合、乳腺小葉は存在しません
- 原因は多岐にわたり、生理的なもの、薬剤によるもの、内分泌疾患、全身性疾患、腫瘍などが含まれます。
- 生理的女性化乳房は、思春期や老年期にホルモンバランスが変化することで生じます。思春期の男性の約70%、老年期男性の約65%にみられると報告されています。思春期にみられるものの多くは1年以内、遅くとも3年以内に自然に退縮します。
- 薬剤性女性化乳房は、女性化乳房を主訴に医療機関を受診する患者の10〜25%を占めるとされます。エストロゲン作用をもつ薬剤(ジギタリスなど)、抗アンドロゲン作用をもつ薬剤(シメチジンなど)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、前立腺癌の治療に用いられるアンドロゲン受容体拮抗薬などが原因となります。
- その他の原因として、Klinefelter症候群などの原発性性腺機能低下症、高プロラクチン血症、甲状腺機能亢進症、Cushing症候群、慢性腎不全、肝硬変、精巣や副腎の腫瘍などがあげられます。
推奨
- 女性化乳房を認めた場合、原因を特定するために、服薬歴を含む詳細な病歴聴取、身体診察、内分泌学的検査、画像検査を行うことが推奨されます。
- 診断においては、肥満に伴う偽性女性化乳房や男性乳癌との鑑別が重要です。超音波検査やマンモグラフィーが鑑別に有用です。
- 女性化乳房自体に重篤な病的意義は少ないため、治療は、有痛性の場合や美容上・心理的に問題となる場合に考慮されます。