周期性四肢麻痺

概要・推奨

概要

  • 周期性四肢麻痺は、発作性の骨格筋の脱力・麻痺をきたす遺伝性疾患であり、血清カリウム値の異常を伴うことが多くみられます。
  • 発作時の血清カリウム値により、低カリウム性周期性四肢麻痺と高カリウム性周期性四肢麻痺に分類されます。
  • 低カリウム性周期性四肢麻痺は、主に骨格筋型電位依存性カルシウムチャネルをコードするCACNA1S遺伝子、またはナトリウムチャネルをコードするSCN4A遺伝子の変異が原因です。
  • 一方で、高カリウム性周期性四肢麻痺は、SCN4A遺伝子の変異による常染色体優性遺伝性疾患です。
  • 周期性四肢麻痺に不整脈や骨格奇形を伴うAndersen-Tawil症候群は、カリウムチャネルをコードするKCNJ2遺伝子やKCNJ5遺伝子の異常が原因となります。
  • 脱力発作の持続時間は数時間から数日、頻度は生涯に数回からほぼ連日までと多様です。
  • 低カリウム性の初回発作は思春期ごろ、高カリウム性は10歳以下で発症することが多いです。
  • 誘因として、低カリウム性では高炭水化物食や激しい運動後の安静が、高カリウム性では寒冷や運動後の安静などが知られています。
  • 発作間欠期には筋力低下を認めないことが多いですが、特に低カリウム性では、進行性・持続性の筋力低下を示すミオパチー型が存在します。
  • 日常診療で遭遇する周期性四肢麻痺の中で最も多いのは、甲状腺機能亢進症に伴う二次性の甲状腺中毒性低カリウム性周期性四肢麻痺です。

推奨

  • 診断において、二次性の原因を鑑別するために血液検査は有用であり、特に甲状腺機能の評価は重要です。低カリウム血症と四肢麻痺を呈した症例では血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)、FT4、FT3を測定することが推奨されます。
  • 発作極期の血清カリウム値の測定は重要ですが、来院時には回復過程に入っている可能性もあり、その値のみに基づいた診断には注意が必要です。低カリウム血症と安易に考えてカリウムを補正すると、細胞外へのカリウムのリバウンド現象により高カリウム血症に陥ることになるため、脱力を伴った低カリウム血症では周期性四肢麻痺の除外は重要です。
  • Andersen-Tawil症候群の鑑別に安静時心電図は非常に重要であり、心室性不整脈や増高U波の有無を確認することが推奨されます。