脳動脈解離

概要・推奨

概要

  • 脳動脈解離は、何らかの原因で脳血管壁の内膜や内弾性板に亀裂が生じ、血管内腔からの血液が中膜に進入して壁内血腫を形成し、血管壁の層構造が破壊された状態を指します。中膜内に進入した血液は内方に向かって血管を狭窄・閉塞させるか、外方に向かって解離性動脈瘤を形成します。
  • 発生部位により臨床像が大きく異なります。日本では頭蓋内椎骨動脈に好発しますが、欧米では頭蓋外内頸動脈に多くみられます。
  • 頭蓋外の動脈解離は主に脳虚血を引き起こします。一方、頭蓋内の動脈解離は外弾性板がなく中膜・外膜も薄いため、外方への動脈瘤形成をきたしやすく、脳虚血に加えてくも膜下出血のリスクも伴います。
  • 脳虚血の発症機序としては、解離に伴う塞栓性機序や血行力学的機序がありますが、塞栓性機序がより重要と考えられています。
  • 症状は多彩であり、急性一側性の頭痛や頸部痛のみの場合から、脳虚血症状、さらにはくも膜下出血まで幅広い臨床像を呈します。若年者の脳卒中の原因として重要であり、50歳以下の若年者脳卒中では約3.6%を占めます。

推奨

  • 虚血症状がない頭痛・頚部痛、あるいは偶発的に発見された動脈解離に対しては、抗血栓療法は有効性が示されていないため推奨されません。血圧管理と経過観察を行います。
  • 虚血症状を発症した頭蓋外動脈解離では、急性期に抗血栓療法を行うことは妥当です。その際、抗凝固療法と抗血小板療法のいずれを選択することも妥当です。治療期間は3〜6か月間を目安とし、3か月後の画像検査で血管所見が正常化していれば中止を、狭窄・閉塞が残存していれば抗血小板療法への変更または継続を検討します。
  • 虚血発症の頭蓋内動脈解離でも、急性期に抗血栓療法(抗凝固療法または抗血小板療法)を考慮します。