上大静脈症候群

概要・推奨

概要

  • 上大静脈症候群(SVCS)は、上大静脈が閉塞もしくは高度に狭窄した結果として生じる症候群です。
  • 原因の多くは悪性腫瘍であり、非小細胞肺がんが43~59%と最も多く、次いで小細胞肺がん(7~39%)、悪性リンパ腫(1~25%)、転移性腫瘍(1~15%)などが挙げられます。上大静脈内の血栓も原因となり得ます。
  • 主な臨床症状として、咳嗽(38~70%)、呼吸困難(23~74%)、失神(8~13%)、頭痛(6~11%)、めまい(2~10%)などがあります。
  • 他覚的所見としては、顔面や頸部の腫脹(60~100%)、上肢の浮腫(14~75%)、頸部や前胸部の静脈怒張(27~86%)などが認められます。
  • 重症度は閉塞の程度と進行速度に依存し、急速に閉塞すると脳浮腫や喉頭浮腫により重篤化することがあります。一方、緩徐に進行する場合は側副血行路が発達するため、症状は比較的軽度なことが多いです。

推奨

  • 治療方針は、症状の重症度と原因となっている悪性腫瘍の治療反応性によって決定されます。
  • 生命に危険が及ぶような重症例(脳浮腫による意識障害や、喉頭浮腫による気道狭窄など)に対しては、症状の速やかな改善が期待できるため、緊急の血管内ステント留置術が推奨されます。
  • 悪性リンパ腫や小細胞肺がん、胚細胞腫瘍などの薬物療法や放射線療法に感受性の高い腫瘍が原因の場合は、原疾患に対する治療が推奨されます。薬物療法により80%の患者で症状の寛解が得られると報告されています。