発熱・不明熱

概要・推奨

概要

  • 発熱は、ウイルス性上気道炎、急性腸炎、扁桃腺炎、尿路感染症、肺炎などの一般的な感染症から、悪性腫瘍や自己免疫性疾患まで、多岐にわたる原因によって生じます。
  • 一般的に、38.3℃以上の発熱が3週間以上持続し、3回の外来受診または3日間の入院による適切な精査を行っても原因が特定できない状態を「古典的不明熱」と定義します。日本の多くの医療機関で用いられる腋窩温では、38.0℃以上がひとつの目安となります。
  • 不明熱は、単に原因がわからない発熱を指すのではなく、標準的な診察や検査を経てもなお診断がつかない特定の臨床状況を指します。
  • 不明熱は、原因疾患や患者背景により「古典的不明熱」「院内発症の不明熱」「好中球減少患者の不明熱」「HIV患者の不明熱」の4つに分類され、それぞれ鑑別すべき疾患の頻度が異なります。
  • 古典的不明熱の主な原因は、非感染性炎症性疾患(自己免疫性疾患など)、感染症、悪性腫瘍の3つに大別されます。近年の報告では、この順で頻度が高いとされています。
  • 感染症の中では肺外結核や感染性心内膜炎、腹腔内膿瘍などが、非感染性炎症性疾患の中では成人Still病やリウマチ性多発筋痛症、血管炎などが、悪性腫瘍の中では悪性リンパ腫などが原因として挙げられます。
  • 薬剤熱も不明熱の重要な原因の一つです。
  • 詳細な精査を行っても、最終的に原因が特定できない症例も少なくありません。

推奨

  • 不明熱の診療では、詳細な病歴聴取と、繰り返し行う丁寧な身体診察が極めて重要です。
  • 診断を困難にする可能性があるため、原因が特定される前に安易な抗菌薬やステロイドを投与することは避けるべきです。
  • 診療の初期段階では、感染性心内膜炎、粟粒結核、腹腔内膿瘍など、見逃すと生命に危険が及ぶ疾患や治療可能な疾患を優先的に鑑別することが推奨されます。